Intelligent Software Laboratory (菅原研究室)
(マルチエージェントシステム研究室)
Computer Science and Communications Engineering
Waseda University, Japan
早稲田大学 情報理工・情報通信専攻、情報理工学科 菅原研究室
(マルチエージェントシステム研究室)
早稲田大学 情報理工・情報通信専攻、情報理工学科 菅原研究室
Research (JP)
English
キーワード: 人工知能、マルチエージェントシステム、分散人工知能、 知的自律エージェント、 (マルチエージェントシステムにおける)機械学習・プランニング、 協調・調整・競争、 ノルムや協調行動の学習・発現・創発、 組織化、ネットワークの知的分散管理など
研究室では、人工知能(AI, Artificial Intelligence)、 特にインターネットでつながれた知的なプログラムが協調・連携・学習し、相互に影響し合う 「自律エージェントとマルチエージェントシステム」 に焦点を当てています。 これは、ネットワーク(インターネット)を通じて通信をしながらソフトウェア自らが自律的に行動を判断し、 協調・協力・調整・競争を通して、単独では不可能な機能を実現したり、 複雑な相互作用があるシステム全体の効率向上をめざします。 そのための理論、実験による検証・評価から応用に焦点を当てています。
たとえば、近年の通信や計算機の発展に加え、 ネットワークでつながれた機器やセンサーなどの多くのデバイスを活用し、 それらを統合・協力させて提供できるサービスやシステム (たとえば Internet of Things --- IoT, (マルチ)ロボットなど) が多数提案・実現されています。 これらの実現には、異なる役割と機能を持つハードウェア・ソフトウェアを適切に組み合わせる必要があります。しかし、 実際のサービス要求はに継続的かつ大量に発生するので、 それに合わせて適切なデバイスに適切な作業を割当て、 同時に負荷分散を考慮しながらこれを実現しなくてはなりません。 研究室では、これらの問題を、 エージェントが「システム」という組織の中での適切な振る舞いとして、 自らの能力やパフォーマンスに応じて自律的に学習することで対応します。
以下はテーマの例です。この他は、過去の 修論・卒論のテーマも参照して ください。
マルチエージェントシステム・人工知能・自律エージェントの要素技術
機械学習、プランニング
エージェントそれぞれが学習(強化学習、統計・確率学習、パターン学習、 帰納学習、言語学習など)を行い、 自分の出番を知ったり、 全体にとって最適な行動を選択できるようなアルゴリズムを提案します。 たとえば、個々に最適な行動を学習しても、 全員が同じ行動をとると競合や競争が起こることがあります。 個別の学習と社会活動の学習では大きな違いがあり、 それに焦点をあてた学習や競合を発生させない行動の発現を自ら学習することに着目しています。 さらに、それに基づく長期的な行動プランを生成する機能などにも焦点をあてますす。
協調、調整、競争のプロトコル
複数のエージェントが協調や競争を行いながら、 全体としての効率を向上させるための手法を提案・開発します。
多数エージェントによる相互作用
少数のシステムと大規模な複雑システムでは、そこで観測される現象も異なり、 またアプローチも異なります。特に、大規模な環境で、 複雑なプロセスを全員がすべて行うのは効率が良くありませんが、 他方、中央で全体を制御することも不可能な場合が多くあります。 そこで、自律的かつそれぞれは簡単に実現可能でありながら、それらを協調・ 統合させ、システム全体としての効率を向上させる仕組みや行動を、 エージェント自らが学習し、獲得する研究をしています。
組織化(エージェントネットワーク)の研究
大きなシステムでは、その個々のプログラム(エージェント) 同士が直接通信できるとは限りません。 また、エージェントにはそれぞれ役割に応じた機能や異なるパフォーマンスを持っています。 それらを適切に配置し、役割や能力に応じて作業分担させる必要があります。 また、環境の変化に適応しながらシステムの効率を向上させる必要があり、 そのための基本的な仕組みや理論・シミュレーションによる評価を実施してい ます。
集団による知性の創発 (Collective Intelligence)、複雑系 (Complex system)
各エージェントは単純な行動とインタラクションを行うのみであるが、全体 としては知的な行動を行うシステム。
コンピュータ(プログラム)と人間との共生 (Socially harmonious coexistence or Symbiosis)
コンピュータプログラムがインターネット、スマートフォンなどで動 作し、ある特定の人や組織の代理として動作するとともに、それは他の人へも直接・間 接的に影響を与えています。これらは人とプログラムは共生する必要があり、それぞれの相互 に与える研究に興味を持っています。特に、直接的なインタフェースでは なく、人間社会に与える影響からの解析に興味があります。
群知能 (Swarm Intelligence)
Collective Intelligenceの例として、生物、たとえば、蟻、鳥、蛍など群 生して社会を作り、そのなかで相互になんらかのインタラクションやコミュ ニケーションを取りなうがら群を適切な状態に変え、それを維持させる機能 があります。このような仕組みをヒントに、生物個体をエージェントと考え、 その環境で実問題をモデル化し、生物の行動を参考にしながら最適な状態 (解)を発見する最適化手法や学習手法について研究をします。
エージェントの応用
エージェントの応用は多岐にわたっています。Webやネットワークシステムへの応用に加え、近年は、社会シミュレーション、ゲーム理論に基づく進化や行動規範の獲得、交通・人流・感染のシミュレーションなど、情報処理の分野を超えた応用もふえています。以下は一例です。
Webエージェントによるサービス
Webデータの解析
マルチエージェントによるネットワークシミュレーション
エージェントベースの社会システムシミュレーション
計算機資源、実社会の資源を想定した資源割り当て
センサー間の協調によるサービス実現
自律エージェントによる知的分散ネットワーク管理
より詳細は、過去の 修論・卒論のテーマを参照するとよいでしょう。